循環性：クローズドループを意識した計画と建築

EU廃棄物枠組み指令（2018/851）は、リサイクル目標の設定、廃棄物削減の推進、そして拡大生産者責任制度の導入によって、循環型経済の強化を目指しています。この指令は、廃棄物のリサイクル、修理、再利用を促す措置を通じて、持続可能な廃棄物管理を支援するものです。

建設資材規則（CPR、または規則（EU）No.305/2011）は、EUにおける建設製品の販売条件を統一し、製品の安全性と環境配慮を保証するための「性能宣言」と「CEマーク」を定めています。2022年の改正により、製品の安全性、環境 気候保護に関する追加要件が加わり、さまざまな業界関係者の義務が拡大されました。さらに、建設製品に関するデジタル情報の提供も義務付けられています。

EUタクソノミー規則（2020/852）は、建設プロジェクトを含む持続可能なビジネスの基準を定義し、循環型建設や資源効率の高い建設への投資を促しています。

具体的な法的要件は、国家レベルで導入されています。以下はその一部です。

• DIN EN 15804は、環境製品宣言（EPD）の原則、要件、ガイドラインを定めています。これにより、建築製品の環境への影響を、ライフサイクル全体を通して評価することが可能になります。
• DIN EN 15643シリーズの規格は、建物およびインフラの持続可能性評価に関するものです。環境効率、資源効率、ライフサイクルコストなど、様々な側面を網羅しています。
• ISO 20887:2020規格は、建物の解体や改修のしやすさを考慮した計画の基本原則と、具体的な要件 ガイドラインを定めています。このガイドラインを活用することで、建物や部材、建材の寿命を最大限に延ばすことができます。
• DIN SPEC 91484は、解体 改修工事前の建材を記録するプロセス（解体前監査）を定めています。この監査は、建材の再利用の可能性を評価し、リサイクルを促すことで、資源の節約とCO₂排出量の削減を目指すものです。この規格は、再利用可能な材料を特定 評価するためのシステムを定めることで、建設分野の循環型経済を支援します。
• 建物の品質保証と資産価値を維持するための認証は、将来的に循環型経済の原則を導入する上でも役立ちます。例えば、ドイツ持続可能建築協議会（DGNB）は、すでに認証における循環性基準を拡大しています。